俺はリア充が嫌いだ

【贋怪談徒然日記(2614)】

★某月某日

俺はリア充が嫌いだ。

高校時代、俺には友達と呼べる人間がいなかった。

課外や修学旅行では“余り者グループ”に班割りされていたし、

休憩時間や昼休みはいつも机に突っ伏して時間が過ぎるのを只黙って待っていた。

教室内の学園生活を謳歌する雑音に耳を傾けながら

「皆不孝のどん底に落ちてしまえばいいのに」

そう思っていた。一方的な妬みと憎しみが滾っていた。

俺はリア充が嫌いだった。

俺時は流れて俺は大学へと進学した。

思い切って入ってみたサークル活動や、自分を変えるつもりで始めたアルバイトもそこそこ順調で、

高校時代の暗い学生生活のことなど忘れて、

それなりに充実した大学生活を送っていた。

大学三年の、試験期間も終わり長期休暇が始まろうとしていた冬の頃の事だ。

テストの打ち上げでほろ酔い気分だった俺は自室に戻るなり電気も点けずそのままベッドへ横になった。

普段ならばアルコールも手伝ってそのまま眠りにつくのだがその晩は少し違った。

布団に倒れこんだ瞬間から手先、足先から強烈な痺れがじわじわと襲ってきた。

始めは「少し飲みすぎたかな」位にしか思っていなかったが、

ジェット機のエンジン音のようなけたたましい耳鳴りがする頃には、全身から嫌な汗が吹き出ていた。

強烈な金縛りと耳鳴りが始まってから2、30分くらいたった頃、

突如「バチン」という音とともに消したままだった部屋の電気が点いた。

「…!」悲鳴を上げようにも声が出ない。

部屋の隅に漆黒の靄で形作られたような“人の形をした何か”が佇んでいたのだ。

視線だけをそちらに向けていると、始めは霧状だったその“人の形をした何か”が、

徐々にはっきりとした質感を形成し始めていることに気づいた。

曖昧だった手や足、顔の輪郭が形状を、そして色彩を帯びてきた。

やがてその人影は完全な人間の形へと変貌した。

“俺”だった。

学生服を着た、高校時代の“俺”。

真っ赤に血走らせた目を見開き、俺を睨む“俺”。

“俺”は鬼のような形相をしながら俺の枕元へと歩みを進めた。

依然として解けない金縛りにもがく俺を見下すかの如く見下ろす“俺”。

“俺”はゆっくりと俺の耳元へ顔を寄せると、

「楽しそうだね…死ねばいいのに…」

そう呟いて、消えた。

あの晩現れた“俺”の所為かどうかはわからないが、それを境に俺の人生は暗転した。

ひょんなことから人間関係を崩し、大学でもアルバイト先に於いても友達と呼べる人間を失った。

精神的にも切迫、自室に引きこもる毎日が続き、履修不足により落第。

程なくして俺は大学を中退した。

現在、俺は明日のないその日暮し。

ただただ時間さえ過ぎ去ってくれればいい。

そう思っている。

俺はリア充が嫌いだ。

Oさんからの投稿。